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あなたの調剤薬局導入事例―調剤薬局チェーンイントロン株式会社―

埼玉県を中心に調剤薬局チェーンを展開するイントロン株式会社。同社では約2年半前に「あなたの調剤薬局」を導入し、多くの加盟店様の中でもお手本となるような薬局運営で成功を収められています。


今回はそんなイントロン株式会社の第2ブロック長をされている佐藤先生に、あなたの調剤薬局導入について伺ってきました。



 

目次

 

イントロン株式会社のプロフィール

イントロン株式会社は埼玉県に本社を構え、関東を中心とした日本全国に40店舗の調剤薬局をチェーン展開しています。ドラッグストアなどは一切併設しておらず、基本的には調剤のみでの展開です。


全体の40店舗は、8ブロックに分けて編成され、それぞれにエリアマネージャーがいます。私が担当する第2ブロックは埼玉県川越市に3店舗、東京都の板橋2店舗と練馬1店舗の計6店舗で構成されています。


イントロン株式会社は1993年に創業し、創業当時は門前医療機関との一対一で営業する薬局が主流だったのですが、ここ5、6年ほどは医療モールなどで複数展開するところも増えてきました。第2ブロックの6店舗でも、うち2店舗は医療モールで展開している薬局となります。


残り4店舗に関しては、3店舗は1対1がメインの店舗で、残り1店舗は小児科と大学付属病院のサテライト施設前という立地です。


ただ一対一でやっている3店舗も、基本的にはいろいろな医療機関からの処方箋が来るので集中率もそこまで高くなく、今では第2ブロックの6店舗すべてで地域支援体制加算が取れていて、充実した運営ができているように感じています。


それぞれの薬局規模としては、まず医療モールの中に位置している薬局が第2ブロックの中では一番大きい規模で、月の処方箋受付枚数が約5000枚です。一日あたりで言うと約200~300枚ぐらいですが、それを薬剤師6~7名、調剤事務4名で対応しています。医療モールには、耳鼻科、胃腸科、整形外科、眼科、歯科などが入っています。


もうひとつのモールは、処方箋枚数が月に2000枚程度です。1日あたりでは大体80枚から120枚くらいで、薬剤師3名と調剤事務3名で、状況に応じてヘルプの薬剤師が入ることもあります。医療モール内には内科、整形外科、歯科、消化器と下肢静脈瘤膝関節クリニックという、比較的珍しいクリニックも入っています。


全店舗であなたの調剤薬局を導入

イントロンでは約2年半前にあなたの調剤薬局の導入を開始したのですが、第2ブロックの6店舗でも、それぞれ導入しています。


導入が決まった頃はやはり単純に、新しく業務が増えることへの懸念や不安がありました。

薬機法や調剤報酬改定など国から打ち出されている政策も変わるので、当然ずっと同じことをやっていてはダメですし、時代の流れに沿って変わっていかなければいけないという事は現場の薬剤師含め全員が理解していたのですが、とは言っても新しい業務に合わせて人員が増えるわけではないですし、本音の部分では「手間が増えるんじゃないか」というネガティブな感情も一部ありました。


ただ実際に始めてみると、薬剤師側も患者様側も生活の一部としてLINEがかなり普及していたので、新たに覚えなければならない操作や機能面への抵抗がほとんどなく、思っていた以上にスムーズに取り組みを開始することができました。


そこから2年半が経ち、今ではスタッフ全員が率先して行動してくれていて、導入前のネガティブなイメージや懸念も払しょくされ、障害なく取り組めていると思います。


導入当初の迷い

この2年半の間でつかんだノウハウや成功体験というのは、それぞれ店舗やスタッフの数だけあると思うのですが、導入当初は、誰がどういうふうに声かけをスタートしたらいいんだろうというところで、みんな漠然とした迷いがありました。


患者様に伝える文言など内容は予め決めていたので、そこは迷わなかったのですが、来局時間の中で声をかけるタイミングと、ただでさえ体調不良で来ている患者様に対してLINEでのお友だち登録の話やシステム連携について、従来のスタイルの中にどう絡めていくかというところがすごく難しく感じて、戸惑いがありました。


もちろん今はそういった不安や迷いはないです。試行錯誤を繰り返しながら辿り着いた部分ではあるのですが、例えば新規の患者様の場合、最初の受付の段階でまず「LINEは使っていますか?」と確認しています。


そこでLINEのお友だち登録をして頂くとどのようなメリットがあるのかを端的に説明し、その後お薬を出すタイミングで、対応する薬剤師が一緒に登録するようにしています。この流れはかなりスムーズで、薬剤師側も患者様側も抵抗がなくお友だち登録、システム連携ができています。


機能面でのメリットと業務効率化

実際にLINEでお友だち登録とシステム連携をしてくださった患者様は、服薬後のフォローアップなどを行った際に結構な確率で返信が返ってきます。


以前はこちらから何か連絡を取る場合も、患者様からご連絡や相談を頂く場合も、電話でのやり取りが主流でしたが、電話ではなくLINEで気軽にやり取りができるので、双方にとって都合の良いタイミングで見ることができ、また返事に関してもいつでも返せるというところがメリットかなと思います。


またやり取りした内容が記録として残るという部分も、非常に良いなと感じています。例えば電話だと、「あの時なんて言っていたかな?」と記憶があいまいになってしまって、患者様から何度もお電話がかかってくるケースがあったのですが、LINEやメール、SMSなどでのやり取りの場合は記録がすべて残っているので、患者様は簡単に見返すことができますよね。お電話を頂く頻度は以前に比べ減ったと感じています。


私たち薬剤師の立場からも、「〇〇様からこの前LINEでこんな連絡を頂いていたな」というのがいつでもすぐに確認でき、ご来局のタイミングで改めて「その後いかがですか?」といった形でお声がけできたりするので、そういった部分でもメリットが大きいと思います。


導入前にあった「業務が増えるんじゃないか」「手間が増えるのは嫌だな」という懸念に反して、実際に使っていくと業務効率化できた部分も多くあったのです。


今は服薬情報提供や服薬後フォローが盛んに行われているので、薬局としてもレポートを書くのが大変だったりするのですが、データが残っていて後から見返しながらすぐにできるので、そういった手間がすごく省けて従来よりも効率よく業務が回せるようになったと感じています。



LINEお友だち登録者数と服薬情報提供

6店舗の中で一番LINEの登録者数が多いのはモール展開している店舗なのですが、連携数で言うと5000件を超えています。もうひとつの医療モールと2店舗合わせると、同じ川越市内で1万件を超える患者様が登録してくださっています。

また6店舗の中で最も処方箋受付枚数が多い店舗はひと月あたり5000枚ほどとお伝えしましたが、多くの方がLINEでも連携をして下さっているので、あなたの調剤薬局システムを使って、服薬後のフォローアップも多くの方に実施できています。


その結果として、現在は月に100件ぐらいの服薬情報提供料を算定できています。他社さんや周辺の薬局の数字的な部分は分からないですが、月に100件は割と多いのかなと私たちも自負しているところです。


LINE活用術

LINEは、服薬後フォローの流れで自動配信しているメッセージのほかに、薬局の定休日のお知らせや季節商品、OTCの紹介等、薬局からのお知らせにも活用しています。


LINEのおともだち登録自体は、処方箋をお持ちでない方でもホームページやLINEの検索ページから行う事ができるので、「今薬局でこういうイベントを開催しています」「こういう商品が入荷しました」など幅広い方に向けてお知らせすることができています。


具体的には、コロナ対策としての消毒液や、PCR・抗原検査をやっていますといったご案内などで、反応もかなりありますね。普段から薬局に来ている方でなくても、「LINEを見て来ました」という方が一定数いらっしゃって、これはLINEの持つ効果だなと感じています。


また慢性疾患などで定期的にご来局頂く患者様においてもLINEを使って繋がるようになったので、以前に比べよりコミュニケーションが取りやすくなりました。お互いの信頼関係が構築でき、処方箋以外にもOTCや健康グッズなどをご購入して下さったり、健康に関する相談をして頂いたり、信頼を寄せて頂けているのが実感できています。


あなたの調剤薬局の導入を検討されている方へ

2020年9月から服薬後フォローが義務化され本格的に始まりましたが、あなたの調剤薬局では服薬後フォローが自動で行えるというメリットはもちろん、その内容が薬局の記録としてきちんと残り、それから患者様の方でも見て頂けるので、薬局・薬剤師側と患者様双方にメリットがあると思っています。


ここ数年で薬局業界のICT化はどんどん進んでいますが、あなたの調剤薬局では服薬後フォロー以外にも、おくすり手帳や調剤予約、服薬情報等提供などにおいてもシステム化が進んでいるので、そういった部分でも導入する価値があるかなと思っています。


また患者様に対してLINEで受診勧奨のお知らせなどもしてくれるので、患者様が薬局に求める形が少しずつ実現出来てきている気がします。求める形に近づきながら、業務の効率化も図れているというところは、本当に価値があるものだと思いますので、導入を迷われている薬局様がいらっしゃいましたら、一度導入して使ってみるのがいいのかなと思います。



病院との信頼関係づくり

最後に、薬局内での業務効率化や患者様側のメリットだけでなく、あなたの調剤薬局では服薬情報提供書も短時間かつスムーズに作成できるので、病院との信頼関係をつくる上でも非常に効果的だと思っています。


あなたの調剤薬局導入にあたり何よりもまず最初に行ったことですが、イントロン第2ブロック長として、ドクターの元を直接訪問し、服薬情報提供書の実物をお見せしながら全て説明をしました。(IPadを用いて説明)


「今後薬局として、こういう風にやっていきたいと思っています」「必要なものは全て提供させていただきたいのでご協力お願いします」という説明をした上で、先生のご要望があれば伺い、その結果をまとめて「こういうふうにやっていきます」というのを丁寧にお伝えして、協力を得ることができました。


あなたの調剤薬局導入以前は、ドクターとの関係性はそこまで強くなく、疑義照会はもちろん行っていましたが、電話だけでのやりとりが多かったです。


それが今ではこういった取り組みから信頼関係ができ、カンファレンスに参加させて頂いたり、業務外の時間に顔を出して気軽に先生と話したりというコミュニケーションが圧倒的に増えたのです。


一般的に病院ではチーム医療が盛んですが、薬局の場合、自薬局内でのチーム連携は当然できても、門前のクリニックや周りの病院と薬局がチームとして連携していくというのはなかなか難しいのが現状です。


ドクターとのコミュニケーションもクリニックとのコミュニケーションも、服薬情報提供などの材料やきっかけがあれば信頼関係も結べるので、こういったツールをうまく活用できれば、従来とはまた違った形での患者サポートと管理ができてくると思います。


今後薬局業界はますます厳しい時代に突入すると言われていますが、患者様だけでなく、周辺のドクターやクリニックからも求められる薬局になれてはじめて、本当の意味でその地域に根ざすことができ、長く愛され選んでいただけるのかなと思います。


以上、ぜひご参考にして頂けますと嬉しいです。




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