医療保険機関や保険薬局は「個別指導」を受けることが法律により義務付けられております。今回はそんな個別指導について、ポイントと注意点についてまとめてみたいと思います。
指導の形態とポイント
まず、法律により義務付けられている指導の形態は
集団指導
集団的個別指導
個別指導
の三つに分けられます。
新設された薬局に対する指導は、開設から1年経過後に行われます。
指導のポイントとして、
調剤が薬学的に妥当かつ適切に行われているか
調剤が基本的なルールに沿って行われているか
調剤報酬の請求根拠が調剤録に記載されているか
定められた診療報酬が適正に行われているか
を確認します。
指導後の評価
指導後の評価は「おおむね妥当」から「監査」までの4段階に分けられます。
その中でも最も厳しい評価が「監査」です。
これは不正行為や明らかな不平等が疑われるの評価で、事実関係を把握し、公正で適切な措置を取ることが目的です。例えば、不正請求、非薬剤師による調剤、調剤の付け替えなどが監査対象となります。
また、服薬管理指導料やハイリスク加算を算定する際に、要件を満たさないまま算定してしまうことがあります。そのような場合も、監査に引っかかり、薬剤師や薬局への処分や5年分の返金、加えて40%の加算金が発生する可能性があります。
このような事態を避けるためには、薬剤師としての基本的な業務や保険調剤のルールをしっかり理解しておくことが重要です。
そして、保険薬剤師登録をした薬剤師は保険調剤のルールを熟知しているとみなされます。
しかし、新規指導や集団的指導を受けた経験のない薬剤師も多く、算定要件の知識の差が生じている可能性もあります。
加えて、医師の処方自体に問題がある場合もありますが、それでも薬剤師が対応しなければならないことがあります。
服薬指導と薬歴
また、服薬指導後の薬歴の書き方については具体的な指導がなく、誤った解釈や書き方によって、不適切な算定につながる可能性があります。
薬歴に関してはSOAP形式での記載が一般的になっていますが、これはもともと薬剤師が薬歴を書くために作られたものではありません。
そのため、薬剤師はこの形式を習得し、自己の作業に適応させる必要があります。
一方で、薬剤師が具体的にSOAP形式での薬歴記載方法を習っていないため、記載内容が必ずしも理想的でない場合もあります。
保険調剤への理解
保険調剤の理解については、厚生労働省のホームページが参考になります。新しい保険点数制度や新規指導事項など、最新情報を常にチェックすることが重要です。
また、厚生労働省のホームページには保険調剤確認事項リストもあり、これを見れば保険薬局が適正な業務を行っているかどうかの指摘事項やチェック項目が確認できます。
乳幼児指導加算
特に、乳幼児指導加算については注意が必要です。乳幼児指導加算は乳幼児への適切な服薬指導を行い、その内容をお薬手帳に記載することが求められています。
しかし、指導内容が成人と同じであったり、乳幼児特有の指導がなされていない場合は算定要件を満たさないと判断されます。また、指導内容をお薬手帳に具体的に記載することも重要です。
以上のような情報を常に把握し、自身の業務に反映させることで、薬剤師は自分の業務を適切に行うことができ、不適切な請求や誤解を避けることができます。
吸入指導加算
また、吸入指導加算についてですが、この加算は、国が認めてくれた新たな制度で、これにより吸入指導を行う薬剤師が報酬を受け取ることが可能となりました。
しかし、患者の同意がなければ算定要件を満たせないため、口頭または紙面での同意を得てそれを薬歴に記載することが必要です。
同意は、かかりつけ薬剤師からの吸入指導加算、糖尿病の調剤後薬剤管理指導加算、トレーシングレポート服薬情報提供料などについても必要です。
薬剤服用歴については、基礎情報の頭書きが適切に記載されていなければ、薬歴としては成立しないということが強調されています。
新患の患者さんが来た時に、アンケート調査を通じて基礎情報を得ることや、通常の会話の中から基礎情報を更新することが重要です。
服薬指導の要点については、どの薬剤について指導を行ったのか、具体的な指導内容は何だったのかを記載することがポイントで、特に、具体的な薬剤名を明記すること、その薬剤に関して何を指導したのかがわかるように記述することが必要とされています。
薬剤師の業務のウェイトが増えつつあり、それに伴い業務記録の重要性が高まっている今、新たに設けられた項目についてもしっかりと確認し、国がどのような業務に対して報酬を提供するのかを理解することが重要です。
継続的な服薬指導について
また今回の変更では、継続的な服薬指導が重要な要素となります。そのため、薬歴の記載やかかりつけ薬剤師による継続的な服薬指導が適切に行われているかがポイントとなります。
しかし、これらを実際の業務に組み込むことは大きな課題であり、その適用や患者とのコミュニケーションについて具体的な戦略を考えることが求められます。
服薬指導を行いつつ、必要に応じて医師と連携を取るなど、新しい業務の取り組みが必要ですが、薬剤師と患者、この一見単純そうな関係性が実は深く、そして複雑です。
長年にわたる接触があれば、薬剤師は患者の生活スタイル、服薬状況をよく理解し、個別化した助言が可能になります。
服薬指導を適切に行うための対応策
しかしながら、全ての患者と薬剤師がこのような深い関係を築くわけではありません。それが私たちが直面している現実です。
しかし、現代社会のテクノロジーは、この状況を大きく変える力を秘めています。
私たちは今、スマートフォンが広く利用される時代を生きており、若い世代から70歳以上までが簡単に通信アプリを用いることができます。これを服薬指導に活用することで、薬剤師と患者の関係性が新たな次元へと進化する可能性があると言えるでしょう。
薬剤師と患者がLINEなどの通信アプリを用いて情報を共有できれば、服薬指導の質は自ずと向上します。情報はリアルタイムでやり取りされ、適切なアドバイスがタイムリーに提供されることで、患者の治療結果に対する影響も大きくなるでしょう。
ただし、こうした新たなアプローチを導入することは簡単ではありません。テクノロジーを理解し、使いこなすためには薬剤師自身が学習し、時代に合わせて進化し続ける必要があります。
同時に、患者と一緒に成長し、共に学び、この新たな方法を自然に活用できるようになることが求められます。また、一方で、薬剤師と患者の関係性や状況は個々により異なることも忘れてはなりません。
患者の性格、状況、薬剤師の役割、勤務形態など、さまざまな要素が服薬指導の方法に影響を及ぼします。これらの要素を考慮に入れながら、最適な服薬指導を行うことが必要となります。
そして何より、服薬指導は今後も重要な業務であり続けます。
通信アプリを通じてこれを日常的に行うことで、薬剤師は患者の状況をよりよく把握し、患者自身も自分の状態をより良く理解することができます。
基本的な項目である薬の服用状況の確認や副作用の確認などを日常的に行う習慣をつけること、これが薬剤師が目指すべき道筋です。
新たな技術を駆使しながら、薬剤師と患者の関係を深化させ、より良い治療結果を追求していく、これが患者のための最善のケアとなるでしょう。
【個別指導のポイントと注意点】まとめ
ここまで、個別指導のポイントと注意点についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
しっかりと正しい知識を身に着けるとともに、誤った解釈による不適切な算定をなくし、個別指導の際には良い評価を受けられるようにしたいですね。
なお、テクノロジーを駆使するというポイントにおいては、日本国内で広く浸透しているLINEの活用がオススメです。
まだLINEを取り入れていない薬局さんがいらっしゃいましたら、ぜひ導入を検討してみてください。
LINEの活用方法に関しては、弊社のオリジナル資料でもいくつか紹介しています。
ぜひお役立てください。
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