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個人在宅の開拓ノウハウ

2022年の調剤報酬改定で枠組みが大きく変更となった地域支援体制加算ですが、実績要件をクリアする上で大切なポイントのひとつが「在宅」です。


みなさまの薬局では在宅への取り組みはどのような状況でしょうか?


今回はそんな「在宅」について、まずは個人在宅に焦点を当てながら開拓のためのコツやノウハウについてご紹介したいと思います。


 

目次

 

重要な4つのポイント

まず、地域支援体制加算獲得のための「相当な実績」リストでは、在宅患者訪問薬剤管理指導料の項目において、従来の12回から24回以上の実績が必要となりました。


さらに以前は薬剤師1人当たりの実績に対してだったものが、処方箋受付回数1万回あたりという基準がつきました。年間の処方箋受付回数が2万回ある薬局は、2倍である48回の実績が必要となります。


この実績をクリアしていく上で、個人の在宅をどのように獲得していくかが非常に大切ですが、その中であなたの調剤薬局では下記の重要な4つのポイントに着目していきたいと思います。

 

① 現時点での余力試算

② マーケットの把握

③ 獲得件数目標

④ 具体的な獲得手法

 

まず1つ目のポイントは、自薬局が現時点でどのくらいの余力があるのかを把握することです。そして次に薬局の周辺地域にどの程度在宅のマーケットがあるのかを知ること、また具体的な獲得件数の目標設定、最後にそれらに対しどのように件数を獲得をしていくか、という流れで考えていく必要があります。



現時点での余力試算

それでは早速、現時点でどのくらい余力があるのか、というところを算出していきましょう。


前述した通り、地域支援体制加算獲得のためには処方箋受付枚数1万枚あたり在宅は24回の実績が必要です。つまり単純に計算すると、1か月あたり2回の実績があれば要件をクリアできるということになります。


処方箋受付枚数が年間1万枚いうことは、月に換算すると1か月あたり833枚で、それを1か月の営業日数で割ると1日あたりの処方箋受付枚数は37枚と計算ができます。

※ここでの営業日数は全体平均の22.5日/月とします。


次に、厚生労働省の発表では1薬局あたりの薬剤師人数が平均1.77名ということなので、ここでは四捨五入して約2名いらっしゃると仮定します。


また在宅における訪問回数の平均が月1.9回という全国データがあるので、これも四捨五入して2回と仮定します。


ということは薬剤師1人当たり、個人宅を1人で月2回、薬剤師先生2名で計4回できれば、クリアできるという試算ができました。みなさんの薬局ではどうでしょうか?処方箋受付枚数や薬剤師の人数が変わってくると、当然試算も変わってきます。


また次に、マクロ的な試算も見てみたいと思います。


「2025年問題」という言葉は、薬剤師先生であれば多くの方がご存じかと思いますが、2025年に約30万人にものぼる団塊の世代の方々が後期高齢者に突入することから起こり得る様々な社会問題のことです。


この団塊の世代の方々を25万人と少なめに見積もったとして、全国に薬局は約6万店ありますが、この25万人を6万店で割ると、1店舗あたり4人という計算になります。4人の患者様が2025年に後期高齢者に突入するということは、在宅の対象にもなられる可能性が高くなると予測できます。


ということは、現在の試算では1薬局あたり2人の薬剤師先生が計4回の在宅実績を取れば目標をクリアできるのに対し、これから2025年に向けては在宅のニーズが高まり、1薬局あたり4人増、計8回の実績が獲得できるという試算になるのです。


逆に言うと2025年問題に対して、計8回の在宅を可能にできる体制が作れていなければ今のままでは耐え切れない状態だということが先読みできます。現時点で自薬局に何名の薬剤師がいて、基準をクリアするためにはそれぞれ何回の実績が必要なのかを可視化し、またさらに今後に向けて余力を作っていく必要があるのです。




マーケットの把握と獲得件数目標

次に重要なのが、マーケットの把握です。あなたの調剤薬局では独自のデータベースから各薬局にそれぞれ、どういったポテンシャルがあるのかというところを試算しています。


その試算を行うにあたって一部参考にしているのが、日本医師会の地域医療情報システムです。ウェブサイトにアクセスすると、地図付きで日本全国エリアごとの病院や在宅医療医、介護施設などの数が確認できます。


たとえどんなに余力が作れたとしても、そもそも周りに対象がなければ在宅の開拓をしようがありません。医療保険の範囲であれば16キロというところが1つの商圏になるかと思いますが、この中でどれぐらい対象となる在宅医療医の先生がいらっしゃるのか、また施設数などまずは調べて頂くことがマーケットを把握する上で重要です。


在宅医療のマーケットを構成するターゲットは個人宅と介護施設で大きくわかれますが、今回クローズアップする個人宅は、今すでに自薬局で処方箋を受領されていらっしゃる患者様の中からアプローチすることで開拓が可能です。


処方箋をすでに受領されている患者様のうち、在宅につながる可能性があるかどうかは、下記3つに分類するキーワードから考えることができます。

 

・独居、夫婦2名で居住、家族と同居の方

・来局される患者様、ご家族様、ヘルパーさん

・在宅診療医の先生

 

処方箋を受領していない患者様は、16キロ圏内の住民全員の方がまずはターゲットとなります。となると、処方箋を受領していない患者様から在宅を開拓したいという場合は、マーケットを徹底的に調べて、在宅診療医の先生をいかにピックアップしていくかというところが、重要なポイントとなってきます。


では前述した3つの分類の中の、独居、夫婦2名で居住、家族と同居されている方から見ていきましょう。この中で特に在宅対応になりやすい患者様は、

・ADLが低下している方

・服薬アドヒアランスが低い方

・老々介護をしている方

・薬局で服薬補助具を購入された方(お薬カレンダーなど)

などがあげられます。


具体的な獲得手法

ではこの方々をどのようにして在宅に繋げていくか。


方法としては、まず来局された後の投薬後フォローアップをきっちりと実施することです。このことが何よりも重要です。投薬後のフォローを行った上で残薬がある場合は主治医に対し服薬情報提供を行い、訪問指示をもらう必要があります。


その後実際に訪問して残薬の調整をしながら、必要と判断される方へは継続的な在宅訪問を開始する流れに繋げましょう。またヘルパーさんがいらっしゃる場合は、ケアマネージャーを教えてもらい他にもニーズがないか確認を行うと良いでしょう。


いずれにしても、患者様の健康を守るためだけでなく、主治医から訪問指示をいただくためのきっかけづくりとして、またヘルパーさんやケアマネージャーさんとの情報共有、信頼関係構築のためにも、しっかりと患者様の投薬後フォローを行う事が大切なのです。


投薬後フォローアップをして初めて、患者様がしっかりと薬を飲めているのか、何か問題が起きていないかを確認でき、それを服薬情報提供書として主治医に伝えることができます。そして主治医の先生から在宅訪問指示を頂き、在宅へのシフト、開拓ができるのです。


まずは投薬後のフォローアップを通して残薬の確認を行う、問題があった場合は服薬情報提供書の提出から在宅訪問指示を頂く、という流れを作ることが大切です。



訪問診療医からの紹介

次に、訪問診療医の先生からの開拓方法です。薬局周辺の在宅のマーケットを確認する中で訪問診療医の先生の情報を確認したら、その先生のもとに伺い、関係性の構築を始めましょう。


なかなかそんな簡単には、とお思いになる方も多いかもしれませんが、医師との関係性を構築する上で、薬局・薬剤師は大きな武器を持っています。それはトレーシングレポート、服薬情報提供です。


服薬情報提供をするには投薬後のフォローアップが欠かせません。投薬後フォローによって薬剤師が得る診察から診察までの患者様の最新の情報は、お医者様からすると非常に重要なものです。


今後の的確な診断、診察に活かす医師へのお手伝いができるのは、最も近くで患者様の服用状況を確認できる薬剤師です。きちんと投薬後のフォローアップを行い、「何かあった際には必ず服薬情報提供をします」という信頼関係が築ければ、訪問診療医の先生からの開拓にも繋がるでしょう。


つまり既に来局されている患者様へのアプローチと同様、投薬後のフォローアップや、そこからの服薬情報提供というところが、ここでもカギを握ってくるのです。


その他の開拓手法としては、厚生労働省のホームページに地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の情報が掲載されていますので、そういったところへの地道な訪問や営業、またそこにいらっしゃるケアマネージャーさんから面会患者さんを紹介して頂く、というのも方法のひとつです。


また他に実際にあった例では、病院の地域医療連携室への訪問や営業も、近隣にお住まいの患者様が退院する際の担当薬局として候補へ入れて頂くよう依頼することができたという例もあります。


医師から求められていること

余談ではありますが、お医者様から望まれる薬局の機能とはどういったものなのかご存じでしょうか。


あなたの調剤薬局が様々な医療関係者にヒアリングを行った結果では、問い合わせ対応や施設同行対応、夜間や麻薬の対応、持続皮下注射やクリーンベンチの設置...あげていくとたくさんあるのですが、その中でも重要なものが、この記事でも何度もお伝えしている“投薬後フォローアップの情報提供”です。欲しい情報なのになかなか手に入らない、というのが医師たちの本音です。


投薬後のフォローアップ、また服薬情報提供がなぜ薬剤師の武器になるのか、なぜ重要なのか。それは、お医者様からすると自分たちにはない情報であり、一方でお医者様はその情報があるからこそ正しい診断ができるから、なのです。


こういった情報を正確に提供してくれる薬局であれば、他に担当している患者様もお願いしたいという流れになるのは必然です。今一度この流れの重要性を頭にインプットし、今後に役立てて頂けると幸いです。


まとめ

ここまで、個人在宅獲得のためのノウハウをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。


繰り返しになりますが、在宅獲得のための第一歩として非常に重要なのは投薬後のフォローアップと服薬情報提供です。これさえきっちりとやっていれば、患者様・ご家族との関係構築、ケアマネージャーとの関係構築、医師との関係構築もでき、自然な流れとして必ず個人在宅の獲得に繋がります。


とは言っても、日々忙しい薬局での日常業務。投薬後のフォローアップやトレーシングレポートの提出など、正直そこまで手が回らないという薬局店舗様・薬剤師先生も多いかと思います。


そんな時にはぜひ、ITツールの活用も視野に入れてみてください。ITの力を借りて生産性をあげていくことは、淘汰の時代と言われている現代薬局業界において勝ち残る方法のひとつです。


あなたの調剤薬局では、LINEを使った投薬後自動フォロー機能(特許取得済み)や、トレーシングレポートの自動抽出機能、処方箋予約機能など、薬剤師の生産性をあげる機能が多数搭載されています。またこれまで培ったノウハウから、在宅獲得のためのコツだけでなく薬局経営にかかわる広い分野でのサポートも可能です。


ぜひこれらの機能やサポートをうまく活用して、在宅に限らず着実に目標を超えていける薬局を目指してください。


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