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地域支援体制加算の実績要件を満たすための準備と対応

更新日:2022年6月8日



令和4年、2022年の調剤報酬改定では地域支援体制加算の枠組みが大きく変わりました。4月で施設基準の届け出も終わり、次は来年に向けてどのような形で地域支援体制加算をとっていくか、悩まれている薬局・薬剤師先生も多いのではないでしょうか。


今回は具体的な事例も踏まえながら、地域支援体制加算の実績要件を満たすための準備と対応についてご紹介したいと思います。

 

目次

 

令和4年の調剤報酬改定

まず、調剤報酬改定について振り返っていきましょう。今回から地域支援体制加算は新たに四つの区分に分かれました。中でも特に大きく変わったのは地域支援体制加算1~4すべてに共通して在宅実績が12回から24回変更となり、また地域支援体制加算3の17点が新設され、調剤基本料にも大きく変化がありました。


そのため今回の調剤報酬改定で調剤基本料が変更になった薬局も多かったかと思いますが、新たな区分のうち地域支援体制加算4などはハードルも高く、「相当な実績リスト」の8項目クリアには、どれかが欠けてしまうという声もよく耳にします。

 

「相当な実績」リスト


① 時間外等加算及び夜間・休日等加算 合計400回以上(変更なし)

② 麻薬の調剤 合計10回以上(変更なし)

③ 重複投与・相互作用等防止加算 合計40回以上(変更なし)

④ かかりつけ薬剤師指導料 合計40回以上(変更なし)

⑤ 外来服薬支援料 12回以上(変更なし)

⑥ 服薬薬剤調整支援料 合計1回以上(変更なし)

⑦ 在宅患者訪問薬剤管理指導料 

単一建物診療患者が1人の場合 合計12回以上→24回以上

⑧ 服薬情報等提供料 60回以上(変更なし)

⑨ 多職種連携会議出席(⑨のみ1薬局当り) 5回以上(変更なし)

 

以前は、薬剤師1人当たりの実績が算定の実績基準でしたが、改定後は年間の処方箋受付回数1万件あたりに基準が変更となりました。1万件未満については一律1万回とみなし、各回数を年間通してどう取っていくかという点が非常に重要となってきます。


中でも特に注目したいのが、④かかりつけ薬剤師指導料・⑦在宅患者訪問薬剤管理指導料・⑧服薬情報提供料 です。


実績要件を満たす上でかかりつけの算定は月4件以上、服薬情報提供は月5件以上が必要という計算になりますが、これをクリアしていくためにはどのような準備と行動が必要でしょうか。


地域支援体制加算の共通要件

ここで、地域支援体制加算の全薬局共通要件を見ていきましょう。

 

① 保険調剤に係る医薬品として1200品目以上の医薬品の備蓄

② 当該薬局のみで(または近隣の薬局と連携して)24時間調剤および在宅業務に対応できる体制

③ 初回処方箋受付時に患者またはその家族に連絡先等情報を説明・文書にて交付・薬局の外側に提示

④ 24時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知

⑤ 患者ごとの薬歴の記録、薬学的管理、必要事項の記入、必要な指導

⑥ 平日は1日8時間以上の開局・土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局(祝日、1月2~3日、12月29~31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断)

⑦ 管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす

・保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験

・週32時間以上勤務

・当該保険薬局に継続して1年以上在籍

⑧ 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知

⑨ 調剤従事者等の資質向上(定期的な研修の実施、学会への定期的な参加・発表)

⑩ 医薬品安全情報への対応(PMDAメディナビに登録)

⑪ 医薬品情報の提供体制の確保

⑫ 患者のプライバシーへの配慮(パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど)

⑬ 一般用医薬品(OTC)の販売

⑭ 地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組み

⑮ 健康相談または健康教室を行っている旨を薬局の内外に掲示・周知

⑯ 医療材料および衛生材料の供給体制

⑰ 在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションとの円滑な連携

⑱ ケアマネージャー・社会福祉士等の他の保健医療サービス・福祉サービスとの連携

⑲ 薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること

⑳ 副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を構築

㉑処方箋集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上であること

 

地域支援体制加算を取りに行く中で、この中の

④24時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知

⑥ 平日は1日8時間以上の開局・土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局

という部分は、多くの薬局にとってハードルになる部分かと思います。


地域支援体制加算を取る上でのハードル

まず営業時間をクリアする上で考えるべき問題に、人件費などのコストがあります。


例えば来年以降に調剤基本料が3に変わる薬局の場合、地域支援体制加算3では1枚あたりの加算が17点になるので、仮に月の処方箋受付枚数が1000枚の場合、17万円のプラスになります。


加えて、仮に営業時間が週に5日間、プラス土日も半分営業する必要があるとなった場合にはその分の経費もかかるので、追加してどれだけの人件費を稼がなくてはいけないのかを考える必要があります。


またこの実績要件の中で、麻薬小売店業の免許をうけていること、また在宅については24回以上、そしてかかりつけ薬剤師指導料の届け出を行っていることが地域支援体制加算の必須要件となり、さらに服薬情報提供の算定がしっかり取れているか、これも非常に重要なポイントです。


その中でも今回は、かかりつけ薬剤師指導料月4回以上の算定と服薬情報提供料の算定回数5回以上を取っていくためのノウハウに焦点をしぼり、ご紹介していきたいと思います。



かかりつけ薬剤師指導料と服薬情報提供料の算定

かかりつけ薬剤師指導料と服薬情報提供料の算定。この2つをクリアしていくために今一度考える必要があるのは、患者様への服薬期間中のフォローアップです。


服薬期間中のフォローアップは今回の調剤報酬改定でもクローズアップされ、経営的な価値という点においても明確に点数化されたことは周知の通りです。


例えば、従来の調剤料・薬剤服用歴・管理指導料は薬剤調製料・調剤管理料・服薬管理指導料という大きな3つの枠組みに変化しました。その中でも服薬管理指導料は、服薬指導と服薬期間中のフォローアップからの加算で、いわゆる対物から対人というところにおいての枠組みへと大きく変わりました。


また点数自体も明確に変わっています。薬剤服用歴の管理指導料は2点ずつアップし、調剤後薬剤管理指導加算はいわゆる糖尿病薬、インスリン等ですが、これについては倍の点数がついています。この算定には地域支援体制加算の届け出が必要で、服薬期間中のフォローアップが実行できていなければこれは取れないという状態になっています。


そんな中で見ていきたいのが、厚生労働省から出された今回の調剤報酬改定に関する条文です。調剤報酬改定前は薬剤服用歴管理指導料の部分は、

 

処方された薬剤について、患者等から服薬状況の情報を収集して薬剤服用歴に記録し、これに基づき薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。

 

と明記されていました。しかし今回の改訂においては、

 

服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。

 

という内容に変化しています。またさらに、

 

処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。

 

という条文も付け加えられました。


この条文は2020年9月の薬機法改正で服薬期間中のフォローアップが義務化された際に、日本薬剤師会から出されたフォローアップの手引き内にある

 

薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない

 

というこの文章が主になったかと思います。「把握すること」が薬剤師には必要で、「知見に基づく指導」を行うため「継続的かつ的確に把握」しなければならないというところがこの条文のミソです。


服薬期間中のフォローアップへの見解

薬機法改正以降、フォローアップについていろいろな見解が出ている中で、「必要があると認めた場合」に注目した見解も多く見られていますが、あなたの調剤薬局では重要なのはそこではなく「患者の薬剤の使用状況を継続的かつ的確に把握する」というところだと考えています。


そして「必要があると認めた患者」かどうかを判断するには、全投薬患者を継続的かつ的確に把握しておく必要があり、そこで初めて「問題のある方」「必要のある方」が分かるのです。


ハイリスク薬の服用患者がフォローアップの対象だとする見解をよく耳にしますが、あなたの調剤薬局が独自に持つデータでは、ハイリスク薬を服用している患者様のうち問題が起きているのは約4%、それに対しハイリスク薬以外の患者様の中には約15%の割合で副作用や残薬、体調変化などの問題が起きていることが分かりました。


つまり「フォローアップが必要な患者様」だけにフォローアップを行うにしても、投薬した患者全体を継続的かつ一元的に管理しないと、その判断材料すら揃っていない状況なのです。


あなたの調剤薬局では薬局・薬剤師先生向けに様々なセミナーを開催していますが、その中でも服薬期間中のフォローが必要と思われる患者さんはどう判断するべきかという質問をよくいただきます。


あくまでも「必要と思われる患者様」にフォローアップを行うわけですが、その必要と思われる患者様をしっかりと判断していくためには、全ての患者様へのフォローが必要、ここが大きなポイントだと考えています。


しかし何より大事なことは、業務的・機械的に服薬期間中のフォローを行うことではなく、多くの患者様の情報を集めながら、それと共に患者様との信頼関係を作ることです。


あなたの調剤薬局加盟店の事例から見えたノウハウ

では次に地域支援体制加算について考える中で重要な、かかりつけと服薬情報提供の加算を、あなたの調剤薬局加盟店の皆さまがどのように取得しているかという事例をご紹介します。


あなたの調剤薬局ではLINEをつかった服薬期間中の自動フォローアップ機能(特許取得済)や、処方箋受付機能などがありますが、加盟店の中で1店舗当たりのLINEお友だち登録者数の平均は、導入から1年時点で約360人程度です。お友だち登録者数の増加に連動するようにLINE経由の調剤予約件数も増え、さらにかかりつけ加算も増加、服薬情報提供料の加算はおよそ15倍まで増えています。


つまり地域支援体制加算実績要件を満たすための、かかりつけと服薬情報提供に対し、薬局・薬剤師が何をすれば良いかと言うと、答えはシンプル。


LINEでつながるお友達を増やすこと、たったこれだけです。


LINEには便利に使える様々な機能がある他、コミュニケーションツールとして現代の日本において最も普及しており、日常的に多くの方が利用しています。服薬期間中のフォローアップを多くの患者様に行うには、電話やFAXだけでは限界があります。LINEのお友達を1人でも多く増やすことが、地域支援体制加算実績要件を満たすことに繋がるのです。


とは言っても、にわかには信じられない方もいるのではないでしょうか。このノウハウで成功している実際の事例を見ていきましょう。


服薬情報提供料の加算事例

まず紹介したいのが、これまで服薬情報提供料の算定を行ったことがないという薬局の事例です。埼玉県にあるこの薬局は、月の処方箋受付枚数約600枚程度。LINEのお友達登録者数は導入から10ヶ月間で約300人まで増やされました。


そしてその結果、10カ月後には月に37回の服薬情報提供の算定に成功しています。10カ月前まではレーシングレポートを出したことすらなく、服薬情報提供料の算定を行えていなかった薬局です。


あなたの調剤薬局はシステムだけを提供するサービスではなく、どのように服薬情報提供書を医師に提出すると良いかなど、ノウハウの面でも幅広いサポートを行っています。


この薬局では、導入の段階で門前のお医者様にご挨拶したことがないと、正直におっしゃってくださいました。トレーシングレポートなんて持っていくと叱られるんじゃないか、余計なことだと言われるんじゃないか、そういった不安と隣り合わせからのスタートです。


そこでまずトレーシングレポートをいくつか医師のもとにお持ち頂き、「薬局としてこういった形で患者様の状況をお伝えすることができます」「お伝えする方法はお電話、服薬情報提供書をFAXまたはメール、直接持って来ることも可能です」と伝え、医師の意向を確認して頂きました。そこで生まれた信頼関係のもと、その後服薬情報提供料の算定に繋げることができています。


医師との継続的な信頼関係を作っていく上で、最大の武器は服薬情報提供です。しっかりと事前準備をした上で、どういった提出方法が良いのか、どんな情報が欲しいのかを確認し、こういうケースが起きたら服薬情報提供をするという共通認識を持っていれば、不安は一気に解消することができます。


しかし、いくら医師との関係ができても、提供できる患者様の情報が無ければ、この薬局のように算定に繋げることはできません。


ではどうしたら良いのでしょうか。ここで思い出してほしいのが前述した、服薬期間中のフォローアップです。


ハイリスクなど、フォローアップの対象患者を一部に限定せず、全投薬患者、できるだけ幅広い方に向けて行うことによって、患者様の動向が把握でき服薬情報提供の算定に成功できるのです。


そのためにLINEのお友達登録者数を増やし、より幅広い方に向けてフォローアップを実施、患者様と医師、双方との信頼関係をそれぞれ構築しながら、服薬情報提供料の加算を取る。全て一連の動きとして繋がっていることなのです。


実際にこの薬局では、地域連携薬局の認定も取られました。月の処方箋受付枚数600枚でも十分に取ることができます。


お友達登録者数を増やすことによってそこからフォローが始まり、そして問題点を抱える患者さまを可視化していきながら、しっかりと医師へ服薬情報を提供していく、この流れがカギとなります。


かかりつけ薬剤師指導料の加算事例

そしてもう一点、かかりつけ算定についてです。


この事例は埼玉県川口市の薬局で、月の処方箋受付枚数は800枚に満たない薬局です。住宅街に位置し、門前には内科のクリニックがあります。


一般的に、来局された患者様にLINEのお友だち登録を促す際、よく使われるキーワードとして「LINEを登録して頂くと調剤の予約もできますよ」という内容が多いのですが、待ち時間の緩和や時間の有効活用という点で、多忙なビジネスマン、お子様連れの親御様、具合が悪く一刻も早く帰宅したい方、そんな方には非常に大きなメリットがあります。


しかしこの薬局のように、門前が内科ですぐ目の前に薬局がある、近隣は商業施設などもなく住宅街である場合、LINEで予約できることをアピールしたところで、すぐそばだから結構です、と断られてしまうケースも多いです。これでは何も成果出せません。


しかし、フォローアップという部分に焦点を当て、「実は当薬局では処方したお薬に対して簡単にアンケートを取らせて頂いています。ご連絡はLINEがいいですか?お電話がいいですか?」こういった内容でお声がけすることによりお友達登録者数が増えました。


しかしこの時点では、かかりつけのご案内はできていませんでした。


薬剤師の皆様にとって、かかりつけの契約について話をしてもいいかなと感じるのはどういった患者様でしょうか。おそらく自分たちに対して信頼感、安心感を寄せてくださっているだろうという患者様にお声がけするのではないかと思います。全く知らない方にはお声がけできませんよね。ということは、かかりつけになるためには、薬剤師と患者の間に信頼感・安心感の醸成が必要ということになってきます。


しかしこの信頼感・安心感。処方箋を受け取って、お薬をお渡ししているだけでは生まれません。何をもって感じられるのでしょうか?正解はずばり、コミュニケーションの量と質です。これが増大することによって信頼感、安心感は増していきます。


そこで改めて、LINEで繋がった患者様に対しフォローアップというコミュニケーションを積み重ね、信頼感・安心感の増長に努められました。問題が起きた時にはもちろんのこと、何もないときでも「よかったです、何かあった際はいつでもおっしゃってくださいね」といったコミュニケーションを繰り返し、何かあった際は薬剤師にご相談いただく、そして薬剤師はしっかりとそれに応える、このサイクルを作ったのです。ここまで来ればもう、かかりつけのご案内もしやすいですよね。


ひとくくりに薬局と言っても、立地や規模など様々な違いがあるので、やり方はそれぞれですが、患者様にとっては同じ“薬局”。求められている事は変わりません。その中で他の薬局との差別化を図り、信頼感・安心感を寄せて頂くには、しっかりとコミュニケーションを取り、フォローアップを行っていくことが大切です。


そのことが、かかりつけの算定を増やす最も近道になるかと思います。


まずはLINEでお友達を増やしていただくこと。

そこに注力していただければ、服薬情報提供料の算定と同じく、かかりつけの加算まで全てが流れていきます。



まとめ

ここまで、地域支援体制加算の要件を満たすための準備と対応についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。


本質的に大切なことはたくさんありますが、まず取るべき具体的な行動はただひとつ。


「LINEでのお友だち登録者数を増やすこと」


この事実に驚かれた方も多いのではないでしょうか。


あなたの調剤薬局では、LINEをつかった服薬期間中のフォローアップや、トレーシングレポートの提出において、業務負担が最小で済むよう様々な工夫・設計がされています。

またシステムの提供以外にも、セミナーや研修の開催、ノウハウの提供など、薬局・薬剤師のみなさまにとって有益な存在となるべく様々なサポートを行っています。


薬局淘汰時代と言われる今。

来年の地域支援体制加算に向け早め早めの行動をし、これからも地域で勝ち残れる薬局を目指しましょう。


あなたの調剤薬局資料DL

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